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第03話 「こんにちは地獄の天使」

第3話、さっそく見ていきましょう。
まずはリストアップデータからご覧ください。
>> 定義・判断基準

今回の舞台、ルパンの「地中海の水は...」の台詞から、地中海沿岸です。が、地名の特定が難しい。田舎銀行の支店長が「パリの本店にいたとき...」と言い、DVD-BOXのブックレットに「プロヴァンスの田舎町」とあったのでフランスと思いました。しかしフローラを脅す直前に映る風車小屋の景色が、ギリシャ・ミコノス島の風景に似ているとわかりました。そういえばハーストもギリシャの海運王を連想させるかな...。他に具体的な場所を示す描写や設定などありますでしょうか?
アジトは海上に張り出していて、全景ではボートも見えます。今回もなかなか広いアジトです。

ゲストキャラは、まずフローラ。15歳で不治の病に冒された少女。活発で前向きなのが救いです。もともと明るい性格なのでしょうが、怖いもの無しに拍車がかかっているのか、ルパンもタジタジ。「3日間付き合ってくれたらコレクションの在処を教えるわ」とルパンを逆利用しながらも、余命少ないことは告げない気丈さがあります。
フローラの継母にあたるハーストの妻は、本編では名前が出てきませんが、設定よりアニタと判明。財産目当ての結婚であることを隠さず堂々としたものです。ハースト亡き後の組織を仕切っているようです。

お宝は幻のエンゼルコレクション。大貿易商かつブラックマーケットの大ボスであるマルコム・ハーストが"世界中から集めた天使の名画"。時価数百億(通貨単位は不明)と言われていて、前回の金塊6トン=180億円より高価そうです。
美術品のお宝はパースリ初登場です。次元が一連の説明をしているのに加え、ルパンも「お前ぇのデータにはなかったじゃねえかよ」と調査を完全に任せていたらしい。話自体を次元が仕入れてきたのかな。人間大砲まで用意したみたいだし。
とはいえ二人ともさほど宝の入手にはこだわっていない様子。手がかりであるフローラをハーストの密輸船に帰したときも、あっさりしたものでした。「俺に解けねえ謎なんて、ンなもんありゃあしねえってんだよ」とルパンが言ったように、その謎を解き、その目で幻の名画を見られただけで満足したのでしょう。
ということで、もちろん成功に分類しました。

服装は、ルパンが2度目の下着姿。いわゆるトリコロールカラーのトランクスです。その格好にネクタイって何か変態チック(笑)
そしてルパンと不二子の水着姿。それぞれ3話まで2度も水着を見せてます。

変装・扮装があるのはルパン。フローラを怖がらせようとした扮装と部屋の演出がオドロオドロしい...というより遊園地のアトラクションみたい(^^;
そして彼女に「付き合って」の銀行強盗。扮装といっても、まんま銀行強盗ですが(笑)。ルパン三世であることを隠したかった様子。その割に服装がいつもと同じなのは、気が乗らなくて面倒だったのかもしれませんね。

受難・ダメージでは、ルパンが「ちゃっぷい」地中海に2度も落下。1度目はくしゃみしてました。
そしてヘリの攻撃。設定には「ヴイトール」とあり、正確にはVTOL機=垂直離着陸できる飛行機です。絵からすると主翼全体の角度を垂直<=>水平に変えられるタイプ(ティルトウイング)で、現実世界ではこの時代、まだ実験の域を出ていません。形が似ている機種にV-22があり、こちらは5年後(1989)が初飛行で、エンジンポットのみ角度を変えられるタイプ(ティルトローター)です。ジェット戦闘機のVTOLはすでに実用化されていますが、それにしても最先端を行ってますねえ。

武器・道具類は、ワルサーが初登場。胸のホルスターに納めるシーンもあり。フローラに持たせた際は弾を抜いていたかと思われます。
マグナムは船内でルパンの援護射撃。「人のデートを邪魔するのは野暮」と粋なところを見せます。
斬鉄剣は敵のヘリ(VTOL機)の両翼をバッサリ。これを斬る描写はちょっとマモー編を思い出しました。それにしても回転翼機に相対するのはローターに巻き込まれそうで怖いですよ。ジェットエンジンでも吸い込まれる怖れがあるけど...。(そもそもそれ以前の問題だけど。)
他の道具類で目を惹いたのは人間大砲、折りたたみ式のコンピュータ、遠隔ハンドあたりでしょうか。五右ェ門の釣竿も出てきましたね。それと銀行強盗報道の件で銭形が新聞を開いています。銀行にあった金額(33万8363円)は銭形の月給と同じだとか。月給と言うからには諸手当は別と思うけど、ご同情申し上げたく...。
そうそう、記念撮影の場所、よく見ると銀行の前じゃないですね。立派な建物なので町役場かな? 警官を含め多くの人が集まっていて、「俺の人気は幅広いの」と言ったルパンの言葉が証明されちゃった形です。

ところでコンピュータ、パースリの時代には個人向けパーソナルコンピュータ(PC)の普及が始まっています。私の周囲でも物理の先生や友人がApple II型を使っていました。持ち運び可能なポータブルタイプも前年(1983)からアメリカで大ヒットしたようですが、重さ12.5kgとかなりデカく、形状もこの回の折りたたみ式とは異なります。しかし放映翌年(1985)には東芝から世界初のラップトップPC(ノートPCの前身)が欧米向けに発売されヒットしたとのこと。VTOL機もですが、地味なところで現実的に時代を先取りしていますね。

乗り物・移動手段、今回もまた陸・水・空を網羅しています。
人間大砲については既に多くの方が語られていますが、次元ってホント飛び道具が好きなんですねえ。
不二子が乗るバギーカーは二輪(バイク)ではなく三輪(トライク)です。見た目を採って自動二輪に分類しましたが、道路交通法では普通自動車免許が必要だそうです。
フローラと別れた後は、次元の運転でドライブ。車を降りてマイクロフィルムを調査中にヘリ(VTOL機)の攻撃を受けます。このときルパンがいち早く運転席に乗り込み、次元は助手席へ。後のモーターボートやラストシーンの車中なども、ルパンにスポットが当たりつつ次元の相棒ぶりも表れています。

煙草シーンは、例の人間大砲に次元が咥えた煙草で着火。その後のカットでは消えてますが、こういう使われ方は楽しいですね。

最後に生活・遊びの項目でルパンと不二子。海辺なのでわかりやすく海水浴としましたが、特に不二子は日光浴だけが目的かな。二人の大人なやりとりがイイ感じです。
フローラに「誰?」と問われて口ごもるルパン。「古い相棒っていうか...」の台詞に年季の入った付き合いが滲み出ます。フローラに対して下心がないのだから「恋人!」と答えてもいいはずですが、この辺にルパンの微妙で複雑な心境が表れているのかも。不二子との関係を誤魔化したり茶化す必要がない相手だからこそ、率直に首を傾げてしまったのかな...と余計な妄想。

ということで一通り見てきました。いかがでしょうか。
前回活躍した銭形は今回ストーリーに絡まず、不二子はルパンをけしかけつつおねだりするポジションに回っています。
話の軸はお宝よりもフローラで、結果としてお宝に巡ってくるという展開です。話の中心人物にお宝を還すパターンが2回続きました。しかしルパンはどちらも目的を果たしている上、失敗したわけでも、単なる善意というわけでもない余韻になっていると思います。
公開日:2009年5月14日  最終更新:2009年5月14日

コメント

> ハーストもギリシャの海運王を連想させるかな...
これはアリストテレス・ソクラテス・オナシスが念頭にあるんでしょうか。しかし名前が何しろ『ハースト』ですから、モデルは新聞王のウィリアム・ランドルフ・ハーストなんじゃないですかねェ…?? 新聞王ハーストだとすればアメリカ人なので、舞台特定はますます錯綜してしまいますが(苦笑)…まぁやっぱり「多分フランス」でいいんじゃないでしょーか。

> 不二子との関係を誤魔化したり茶化す必要がない相手だからこそ、
> 率直に首を傾げてしまったのかな
そうやって考えてくと、そう言えば不二子もクラリスに対して『真面目に』『律儀に』答えてましたね。「誤摩化しや茶化しが必要無い相手だから」ってのに合わせて、「少女の純粋な質問には真面目に返さなければ」って頭が、二人して何処かにあるんですかねェ。子供の質問がきっかけとなって、改めて自分の中で考え直してみる大人…ってのは何となく判るような気がします。

※乗り物データ補足
ルパン達が乗った普通車→シムカ1000

ところでこのシムカの後部座席に五右ェ門が乗っているのを、僕はリストアップし忘れてしまってました。konさんのデータを見て、僕のデータの欠落を発見。おかげで自前データを補完出来ました。大感謝です。

シムカの画像はやっぱし「名車館」が適当でしょーか。
http://gazoo.com/meishakan/meisha/shousai.asp?R_ID=2002#

海運王は仰るとおりオナシスを連想してました。が、こっちは思いつきの付録で、話をややこしくしてスミマセン。気になったのは風景の方です。描かれてる風車小屋がミコノス島のシンボルと言われるほど有名なものらしいので…。…あれ?でもミコノス島なら地中海じゃなくてエーゲ海になるか。うーん。
池本さんが「多分フランス」と考えられてるのは、どの点でしょうか。確かに皆さん今回の舞台をフランスと記述されてるので、私が何か見落としているんじゃないかなあ?(それが何かわからない…)

> 「少女の純粋な質問には真面目に返さなければ」って頭が
なるほど。それはあるかもしれないですね。
ただこれも推測ですが、不二子とクラリスの場合って女同士の気安さもありそう。また不二子がクラリス(の感情)をそれほど子供と思っているか…てのもちょっと疑問だったりして。この辺は個々の解釈なので何とも言えませんけど。でも、
> 子供の質問がきっかけとなって、改めて自分の中で考え直してみる大人
というのは、私も何となくわかる気がします。

そして今回も補足ありがとうございました。データ表に追加しました(^^)

> 描かれてる風車小屋がミコノス島のシンボルと言われるほど
> 有名なものらしいので…
そうまで独特で有名な建築様式が描かれてたんですか…。なるほど。しかしまぁ『多分』美術に関してはあんまり何も考えてなかったって側面が『この件に関しては』あったんじゃないかなぁと思うところで、例えば地中海関係の写真集か何かを参考にして描いた為に何もかんもゴジャゴジャになってしまった…って辺りが真相なんじゃないかなぁ、と。
地中海は地中海でも本当はフランス方面を描くべきところを、きちんと区別せずに「絵になる」「カッコイイ」って判断で、地中海は地中海でもギリシャ方面エーゲ海方面を描いてしまった…って感じで。

>「多分フランス」
僕が拾った『情報』ってのはむしろkonさんよりも少なめで、『地中海』と『パリ』の二つでもって「多分フランスなんだろう」と推測してるってのが実際のところです。作品舞台として「フランスである」と確定してる訳じゃあなくて、舞台は不明だけど、まぁ多分フランスなんだろうなぁという感じ。

ついでに言えば…舞台特定の際には登場する車が何処の国の車なのか?ってのも判断材料になったりする(※新ルもPARTIIIも、「登場車種が何処の国の車なのか?」ってのと「作品舞台が何処の国なのか?」ってのがシンクロしてるケースが結構多い)んですが…シムカはイタリアなんですよねェ。やっぱりどうも、漠然と、大雑把に「地中海!」ってのがドーンと中心にある感じで、国単位ではあんまり考えてなかったんじゃないか…と思います。脚本には記述があったのかも知れないので、脚本が出て来ると助かるんですけどねェ。

> 不二子とクラリスの場合って女同士の気安さもありそう
あ、なるほど、そうですね。

> それほど子供と思っているか…てのもちょっと疑問
そう言われればそうですね。ちょっと先輩風を吹かせてるような感じと言うか、牽制してるような感じもあったりして…対子供と言うよりかは対等な立場と看做して喋ってるような。
フローラとクラリスは似たようなところがありつつも、立ち位置がちょっと違うってのはありますね。『子供(少女)』って部分よりかは『聖性』『純粋さ』みたいな部分が重要なんですかね、この件に関しては。

マルコム・ハーストが『地中海一帯』に根城を持つ大貿易商だったって事なんで、作品の舞台も何処か一つの国というんじゃあなく、地中海一帯だったんだとするといいのかも知れないですね。フランスからギリシャからあっちこっち、かなり広い範囲を行ったり来たりしたんだって事で。

> 地中海一帯
自分で言っておいて何ですが…たかだか数日の間にギリシャ近海からわざわざフランスの片田舎であろう銀行に行ったりする必然性がまるで無いし、そんだけの長距離移動をした様子ってのも読み取れないですね。たはは。

私もこの話、フランスが舞台だと思い込んでました。konさんに見せていただいたDVD-BOXのブックレットに「プロヴァンス地方」とあったのと、銀行員の台詞からフランスなんだろうなぁと。
で、今回ちょっと気になったので調べてみたのですが…プロヴァンス地方って綺麗な街並み多いんですねぇ。作中の風景とそっくり!というものは見つかりませんでしたが、レ・ボー・ド・プロヴァンスの風景が、白っぽい岩山があったり、(写真だと小さそうでしたが)風車小屋らしきものもあったりで、何となく近しい感じを受けました。また、「天国に一番近い村」と呼ばれているらしいエズも、このフレーズが作品と合っててイイ感じかな~なんて妄想しちゃいました^^(エズ村の写真と作中の風景は全然違う雰囲気でしたが。残念!)

この回やっぱり気になるのは、次元の飛び道具の好き具合です。人間大砲を実験済みって…どんな子供時代!?(笑)
また、飛行機やコンピューターが、さり気なく最先端だったという事を始めて知り、すごく興味深かったです。それが“さり気なく”盛り込まれているところがいいですよねぇ。

そしてラストのお宝の行き先。これがホントに余韻があって素敵ですよね。フローラの元に残してきたことが、見てる側に非常に納得がいくというか。しっかりと謎は解いた上での粋な計らいと優しさが、これまたサラリと描かれてるのでルパンってカッコイイなぁ」と思っちゃいますv(笑)

2晩続けて睡魔に負けてしまいました…。風邪気味で…といっても大したことないのに、たかがビール一缶で潰れる程にはヘタってる様子(←呑まなきゃいいのに)。どうも昔から季節の変わり目に弱いなあ(^^;

池本さん、みゆさん、舞台となった土地についての考察や情報提供をありがとうございます!
ひとつひとつに「なるほど~」と頷きながら楽しませていただきました。
確かに「地中海一帯」という大まかな認識がまず在って、美術や車種など様々な描写は特定の地域に絞られてないようですね。風車(羽の三角帆が特殊)の情景に惑わされましたが、"地中海関係の写真集か何かを参考"に描かれたかも…とはありえそうだなーと思いました。そしてプロヴァンスの風景が近しい感じというのは興味深いです。ブックレットを書いた人もそう感じたのかな。「天国に一番近い村」もあるなんて意味深!
結局のところ確実なのは「地中海沿岸」で、特定の地域を考えるとフランスが有力…ということになりそうですね。

>池本さん
> 『聖性』『純粋さ』みたいな部分が重要なんですかね
そうかもしれませんね。純粋さに弱いというのは大いにありそうです。真摯に向き合わざるをえない気持ちにもなりそうだし、そうでなくとも思わず素で反応しちゃったりね(^^)

>みゆさん
「ガキの頃に実験済み」って、さらっとスゴイこと言ってますよね。縁日の射撃ならともかく人間大砲となると…さすがにフツーのガキじゃそこまでやらないですよ(笑)
そうそう、最先端。荒唐無稽な創作道具じゃなくて、現実的な最先端をいってるところが、何となくパースリらしい感じがします。
ラストは実に自然ですよね。仰るとおりルパンの行動にすごく納得できるし、また当然のようにそうするルパンが本当にカッコイイですねvv

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